離婚はスムーズに行かないことが多い
妻に浮気をされたら、夫側は悲しみと絶望感に苛まれていることでしょう。真っ先に考えるのは浮気をした妻との離婚だと思いますが、考えなしに離婚をするのは非常に危険です。
今回は、妻の浮気発覚から離婚に至るまでの準備や離婚に伴うリスク、並びに慰謝料請求の相場や親権獲得の方法などをお教えします。
離婚の準備に必要なこと
妻に浮気されたからと言って、すぐに離婚に持ち込むことは非常に危険です。
離婚する前に、最低限するべきことがあります。
一度落ち着いて、今すぐに離婚していいかどうか考えてみましょう。
家事をこなせるようになる
離婚をする前に、料理や掃除・洗濯など、自分のことは自分でできるようになる必要があります。
仕事と家事を両立しなければならないので、これらをこなせるようにならないと、あとで困るのは自分です。
取り決めを必ず書面に残す
慰謝料や養育費など、離婚に関する様々な取り決めは離婚協議書に記入していきます。
しかし、この離婚協議書には法的拘束力がありません。
万が一妻に慰謝料の支払いを滞納された場合、裁判をする必要がありますが、お金も時間もかかるので、なるべく回避したいところです。
拘束力が強いのは公正証書
協議離婚では、公正証書による離婚契約(公正証書離婚)が利用されています。
公正証書は中立公正な立場である公証人が作成する公文書であり、高い証拠証明力があります。
養育費、財産分与、慰謝料などが滞納された場合、支払いを強制執行を行える強力な証書となります。
各ローンの名義を変更する
結婚している夫婦は、名義を相互に使用することが多いですが、離婚後は契約者が支払いをする必要があります。
したがって、離婚前に所有者を明確にし、必要に応じて名義変更を行わなければトラブルに発展しかねないのです。生命保険や住宅ローンなど、離婚後はどちらが支払い責任を負うのかをきちんと話し合う必要があります。
例えば、住宅ローンの名義変更は難しい
ローンを組んで住宅などを購入し、支払いが未完了の場合は、所有名義とローン名義という2種類の名義が存在し、夫婦二人の名義の場合と単独名義の場合もあります。
所有名義はローンが残っていても、ローンを組んだ金融機関から事前に承諾が得られれば変更可能です。
しかし、住宅ローンが夫婦名義となっている場合、その変更は簡単ではありません。
妻の浮気が原因で離婚した際に負う可能性のあるリスク
もう信用のない妻と離れ、他人となって人生をやり直すことができるのが離婚のメリットでしょう。
しかし、離婚をするにはもちろんデメリットがあります。それらを踏まえたうえで、離婚をするかどうか判断をしましょう。
浮気をされても親権は妻になる可能性が高い
親権を獲得すると、子どもを育てるうえで生じる全ての責任を負う代わりに、別れた配偶者に養育費を請求したり、面会を制限することができます。
しかし、たとえ妻が浮気をしたからといって、それが父親に親権が渡る理由にはなりません。
それは、浮気をしても、子どもに愛情がないとは言えないからです。
特に、子どもが小さければ小さいほど、養育に母親の力が必要であると考えられています。
- 母親が育児をほとんどしなかった
- 母親が子供を虐待した
- 母親が親権を欲しがらない
というような場合、父親は親権を取りやすくなります。
家事と仕事を両立しなければならない
離婚前は家事全般を妻に任せていた場合、それらすべてを一人でこなすのはかなりの負担になります。
仕事と家事の両立ができず、離婚を後悔したケース(40代男性会社員)
半年前、妻に浮気をされ離婚をしました。
当時は自分を裏切った妻に腹が立ち、もう顔も見たくないと思い離婚をしましたが、離婚前は料理や洗濯をすべて専業主婦の妻に任せていたため、今大変な思いをしています。
仕事が忙しく毎日の食事を自分で準備するのは難しいため、コンビニ弁当で済ませる日々です。
経済的にも健康面でも最近は辛くなってきており、部屋もなかなか片付けられません。
今では、あの時妻を許し、離婚なんてしなければよかったと後悔をしています。
妻と浮気相手にとっては好都合になる
浮気をした妻と離婚した場合、妻は本当に浮気を後悔するのでしょうか。慰謝料の支払い義務は生じるかもしれませんが、その後浮気相手と交際を続け、再婚というケースも十分に考えられます。
浮気された夫側は、喪失感・孤独感・虚無感などに苛まれるかもしれません。
一人の時間が増える
浮気をしたのが妻であっても、親権が妻に渡る可能性が高いことを考慮に入れれば、今ある家庭環境は壊れ、一人になる時間が増えるでしょう。
妻側の家族や親戚との関係が険悪になる可能性がある
離婚は当事者二人の元でするものですが、離婚は互いの家族や親戚を巻き込むことになります。
離婚の原因が妻の浮気である場合、妻側の家族と円満な関係を続けるのは非常に困難でしょう。
慰謝料が入っても養育費や財産分与で損をする可能性がある
浮気をした妻への制裁として、慰謝料をもらってから離婚をするのは得であるとは限りません。
慰謝料を払うのは浮気をした妻ですが、離婚時に慰謝料以外の支払い義務が生じ、それを夫側が支払うことになった場合、結果的に損をするケースが多く存在します。
有責で離婚することと財産分与は別
夫婦の共有財産は浮気をした場合でも折半が基本です。
浮気をされた夫側からすれば納得いかないかもしれませんが、財産分与は離婚原因をつくった妻からでも請求することができるのです。
ちなみに、独身の時に貯めた貯金や親からの遺産などは共有財産には入りません。また、住宅ローンなどの借金も負の財産として折半が必要です。
浮気した妻に慰謝料を請求するためには浮気の証拠が必要
浮気をした妻には慰謝料を請求して離婚する際には、妻が浮気をしたことを証明する証拠が必要です。
有責行為であるかどうかがポイント
浮気が原因で離婚をする場合、妻が有責行為をしたかどうかが慰謝料を請求できるかどうかの判断基準になります。
特に、妻に不貞行為があったかどうかを示す証拠が必要です。不貞行為とは、性行為や性交類似行為(オーラルセックス・同性愛行為など)のことを指します。
この不貞行為があったかどうかが、浮気による離婚をスムーズに進めるための前提条件です。
真相がわかるまでは冷静でいることが重要
妻の浮気が発覚した場合にいちばん大切なことは、決定的な浮気の証拠をつかむまでは妻の浮気を疑っていることがバレないようにすることです。
ラブラブなLINEのやりとりや、2人で写っている写真は、浮気の証拠としては弱いです。
どんな証拠が有効なの?
慰謝料や離婚をスムーズに進めるためには、誰が見ても不貞行為があったことがわかるような決定的な証拠が必要です。
例えば、ラブホテルに2人で出入りする写真は不貞行為があったことを示す証拠として有効です。
その他、互いの部屋に出入りする写真や、宿泊する写真も、滞在時間や撮影回数によりますが、不貞行為があったことを示す証拠として有効です。
証拠集めは探偵事務所に依頼しよう
浮気の証拠の収集は自分で行うことも可能ですが、探偵に任せる方が確実です。
尾行していることや浮気を疑っていることががバレてしまった場合、浮気の証拠を集めるのは非常に困難になります。
また、自分で集めた証拠が法的に有効であるとも限りません。ラブホテルに妻と浮気相手が出入りする写真を撮影しても、 ショックでシャッターがうまく切れなかったり、写真が鮮明でなかったりすると、慰謝料請求や離婚に持ち込むための証拠としては使えなくなってしまうのです。
したがって、妻の浮気が発覚し、浮気の証拠を手に入れようとした場合は、まず探偵事務所に無料相談をすることを強くおすすめします。
不貞行為の証拠を手に入れ慰謝料の請求ができたケース(40代男性会社員)
15年連れ添った妻の浮気が発覚した。3ヶ月前から何だか妻がよそよそしくなり、ある日妻のスマホに「また来週〇〇(妻)に会えるのが楽しみ」との絶望的な通知が見えた。
もう妻を信じることができなくなり、弁護士に離婚の相談をしに行った。
人生を新しくやり直したかったので、住宅や貯蓄はきれいに折半したかったが、慰謝料はきっちり請求してやりたかった。しかし、弁護士からは慰謝料を請求するためには不貞行為があったことを示す証拠が必要と言われた。
妻には出張と言っておくと、案の定その日は浮気相手と会うことにしていた。気づかれないように尾行し、レンタカーの中から、
ラブホテルに出入りする二人の姿を撮影した。
その決定的な証拠が大きな影響力を持ち、離婚はもちろんスムーズに進み、220万円の慰謝料を請求することができた。
慰謝料請求の相場と、金額を左右する条件
実は、日本の法律では慰謝料の具体的な算定基準は定められていません。裁判になった場合は、裁判官がいくつかの事情を考慮に入れたうえで決定するのです。一体どのような条件が慰謝料の金額を左右するのでしょうか。
妻の浮気による離婚の場合慰謝料の相場は200万前後
もちろん浮気の状況によって慰謝料の額は変わってくるのですが、一般的には慰謝料は50万円から300万円の範囲に収まることが多いと言われています。
基本的に、認められた精神的苦痛が大きければ大きいほど、慰謝料は高額になります。
浮気相手にも慰謝料を請求できるケース
妻の浮気相手にも慰謝料を請求する場合、基本的に不貞行為をしたことについて「故意・過失」があること、不貞行為によって「権利の侵害」があったことの2つの条件を満たす必要があります。
不貞行為の故意・過失があるケース
「妻が既婚者であると知りながら肉体関係を持ってしまったケース」また「普通なら結婚していることに気づくはずなのに、注意を払わなかったために既婚者と肉体関係を持ってしまったケース」などが挙げられます。
不貞行為による権利の侵害があるケース
浮気相手の不貞行為により、夫婦の「平穏・円満な共同生活を送る権利」が侵害された場合には慰謝料を請求することができます。
もしも不貞行為がない場合にも、行き過ぎた親密な交際をしていた場合には慰謝料を請求できる可能性があります。
ただ、夫婦の関係が既に破綻していた場合は、慰謝料請求が認められないことがあります。
慰謝料金額を左右する条件
前述にもある通り、慰謝料の金額は主に精神的苦痛の大きさによりますが、他にも様々な要素があります。例えば、責任の大きさ、結婚期間、子どもの有無、有権者の社会的地位・悪意・性別や年齢・経済状況と支払い能力があります。
したがって、相手が高額な財産を持っている場合や、子どもの前で不貞行為をするなどの子どもに悪影響が及ぶと想定される場合にも慰謝料の増額が見込めます。
〜100万円になる場合
離婚や別居をしない場合、または不倫の期間や結婚期間などが短いなど、精神的苦痛が軽いと見られる場合の慰謝料は50万〜100万円に収まります。
〜300万円、またはそれ以上になる場合
精神的苦痛が大きいと認められれば、慰謝料が高額になっていきます。
良好だった夫婦関係が浮気によって離婚することになった場合や婚姻期間が10〜20年に及ぶ場合、また長期に渡り浮気を繰り返した場合などが挙げられます。
浮気相手との間に子どもがいるなど、浮気の程度が悪質だと認められれば、300万円などの高額な慰謝料の受給が認められる可能性があります。
離婚の際に親権を獲得するには
妻の浮気で離婚が原因で離婚に持ち込む場合、親権はどちらが持つのかは非常に大きな問題になります。
前述にもある通り、離婚をする際には子どもの親権は母親に渡ることが圧倒的に多いです。家庭裁判所で離婚後の親権を決める際、
- 経済力・生活状況・態度
- 子どもへの愛情
- 子どもが10歳以上15歳未満の場合、子どもの意思
が判断材料になります。
親権に関しては子どもの福祉が重要な観点になるので、離婚原因を作ったのがどちらかはあまり関係ありません。
したがって、母親が浮気をしたからと言って父親が親権を持てるとは限らないのです。
父親が親権を獲得するためには?
それでは、父親が親権を獲得できるケースにはどのようなケースがあるのでしょうか。
いくつかの事例を紹介していきます。
父親が専業主婦をしているケース
母親が外で仕事をし、父親が家事をしてきた場合、これまで子どもと時間を共有してきたのは夫側であると見なされ、親権が渡る場合があります。
夫婦が別居状態で父親が子どもと同居しているケース
子どもの現在の生活を尊重するという観点から、夫婦別居状態で父親と子どもが半年以上の安定した生活を送っていた場合、父親側に親権が渡る可能性があります。
母親の子育てに問題がある場合
例えば妻が子どもに虐待をしていた場合、子どもの健やかな成長を妨げるため、その母親は子育てに不相応だと判断されます。
子どもが15歳以上で、親と暮らしたがっている場合
子どもが幼い場合は両親の話し合いのもとで親権者を決定しますが、子どもが15歳以上で両親のどちらかと暮らすことを希望している場合、その主張が認められます。
親権を獲得するためには調停委員を味方につける
どうしても親権を獲得したい場合、調停委員を味方につけましょう。妻よりも自分の方が親権者としてふさわしいことをアピールし、より良い印象を与えましょう。
家庭裁判所調査官の調査とは?
親権者を決定するために離婚調停をする場合、調停の間に裁判所の調査官による家庭訪問が行われるでしょう。
調査する主な内容としては、
- 夫婦のどちらが子どもの監護養育を担当していたのか
- これまでの子どもの養育環境について
- これからどこでどのように養護養育をするのか
- 相手が親権者になるのが不適当である理由について
などです。
ここで作られる調査報告書が
裁判中に大きな影響力
を持つことになります。
無理に取り繕って矛盾が見られると悪印象に繋がるので、嘘をつかずに真摯に話しましょう。
普段から子どもの生活環境を整えることが最も重要です。
父親が親権を獲得できたエピソード(30代男性会社員)
私は可愛らしい妻の夫であり、元気な息子たち(3才と5才)の父親で、幸せな生活を送っていた。そう、去年までは。
妻の浮気が発覚したのは去年の冬だった。社員旅行で家を空ける間、私の母と子どもが出かけていた。その間に妻は高校の同級生と事に及んでいることが発覚する。
それからというもの、妻に子どもたちに触れて欲しくなく、妻には実家に帰らせた。
離婚を持ち込んだが、妻が子どもを育てたいと言い出したのだ。しかし、浮気発覚後7ヶ月ほど続いた別居が続いたのが功を奏す事になる。
結局離婚調停を申し立てたのだが、私の方が子どもの監護実績があると判断され、最終的に親権を獲得することができた。
浮気をされても、離婚以外の選択肢もある
今回は、浮気をした妻との離婚について考えている方向けに離婚する際に気をつけることを述べてきました。
しかし、もちろん「浮気されたら離婚」という選択肢が全てではありません。
探偵事務所に浮気や不倫の調査依頼をする方々の多くは、離婚せずにやり直したいと考えているのです。
離婚をすることは必ずしも浮気の解決策ではない
離婚をすることは浮気に対する清算にはなるかもしれません。
しかし、今離婚をしたとして本当にあなたは人生の新しいスタートを切れるのでしょうか。
離婚したあなたは、「結婚式に来てくれた人を裏切ってしまった」「裏切られたまま別れ、今までの時間が無駄になってしまった」などと後悔したり沈んでしまったりするかもしれません。
大切なのは「二度としない」と思わせること
浮気をされた時に大切なのは、妻に「もう二度と浮気はしない」と思わせることです。
離婚をするにせよしないにせよ、浮気をしたことを反省し、更生させることができるとよいでしょう。
「自分が至らなかったせいで、素晴らしい夫を失ってしまった」と思わせることができれば、あなたにとって真の勝利です。
最低限、普段から自分の人間性や男を磨いておくことは必要です。
妻の浮気を予防する方法
一度浮気をした妻の浮気を防止するにはどうすればよいのでしょうか。
浮気をする原因は夫に対して少なくとも何らかの不満があったと言えるでしょう。
日頃の妻に対する言動を見直したり、マンネリ感を出さないようにサプライズをしたり、付き合いたての気持ちを思い出しながらデートをしたりと、夫からの愛情を感じさせることが大切です。
まとめ
慰謝料や離婚をするかしないかそのものよりも、浮気をされた後のあなたの人生の方が重要です。
これからどのような人生を歩みたいのか、妻とやり直したいのか、別れてもっと素敵な女性を探すのか、どの選択肢をとっても、その選択肢を正解にするのはあなたなのです。
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