妻の浮気が原因で離婚をすることになり、離婚後も養育費を支払い続けなければいけないとなると納得が行きませんよね。
離婚をすることになると、妻と離れるのはもちろん、子どもとも離れ離れになる可能性が高いです。散々な思いをさせられたのに、養育費まで請求されるとなるとたまったものではないでしょう。
今回は、なぜ傷つけられた側でも養育費を支払う必要があるのか、どうすれば養育費を減額できるのか、また養育費の支払いを避けることはできるのかをわかりやすくお伝えします。
浮気をされた側でも養育費を払うことになる可能性が高い
日本国内で3組に1組が離婚をする中、離婚をする際にいちばんトラブルになりやすいのが養育費です。
妻の浮気が原因で離婚する場合でも、母親に親権が渡る可能性が非常に高いです。
離婚後でも、夫だったあなたの子どもへの扶養義務は残ります。
したがって、浮気をされた側であったとしても、扶養義務のある夫が養育費を支払うことになるのです。
なぜ、浮気をされた側にも関わらず夫が子どもの養育費を支払うことになるケースが多いのでしょうか。
なんで浮気されたのに養育費を払うことになる?
自分は浮気をされた側なのに、離婚後も妻に養育費を支払わなければならないのは納得がいかないと思います。
そもそも養育費とは何なのか、どうして離婚の原因をつくった妻に養育費を渡さなければならないのかをここでお伝えします。
養育費とは子どもが自立するまで払うお金のこと
養育費とは、離婚する夫婦の間に未成年の子どもがいる場合にその子どもが自立するまでに支払うお金のことです。
子どもを監護する親は子どもを監護していない親(非監護親)に対して、子どもを育てていくための費用を請求することができるのです。
養育費の支払い義務は「生活保持義務」と言われており、子どもが最低限の生活を営むための扶養義務ではなく、自分の生活を保持する音同程度の生活を、扶養を受ける子どもにも受けさせる義務のことです。
つまり、妻と離婚した後も子どもがあなたと同等の生活をすることができるように支払うお金なので、「生活が苦しいから払えない」というものでもなく、家系に余裕がある時に支払うというものでもありません。
経済力のある夫に支払いの義務がある
離婚の原因をつくったのが浮気をした妻であっても、経済力のある夫の方が養育費を支払わなければならないケースが多いです。
しかし、養育費は妻のためでなく、子どもが自立するために必要なお金です。
子どものためだと思って割り切るしかないでしょう。
親権を持たない方が親権者に養育費を支払う義務がある
親権とは、未成年の子どもを監護・養育し、その財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為をする権利や義務のことです。
親権を持つ方は、親権を持たない方に対して養育費の支払いを請求することができます。
妻が親権を持つ場合も、親権を持たないあなたの子どもの扶養義務がなくなることはありません。
たとえ浮気をしたとしても親権は母親に渡りやすい
妻の浮気が原因で離婚をするとしても、親権は母親に渡るケースが圧倒的に多いです。
なぜかというと、母親と子どもの結びつきが強く、子どもがが小さければ小さいほど母親の存在は必要だと考えられているからです。
また、「浮気をしたとしても、子どもへの愛情がないとは限らない」と考えられているという理由もあります。
父親でも親権を勝ち取る方法についてはこちらをご参照ください。
養育費の金額はどのように決まるのか
養育費は実際にいくらぐらい支払わなければならないのか気になるところだとは思います。養育費の金額は夫婦によって様々で、一般的には毎月決められた日に一定の養育費を支払うケースが多いです。
子どもの人数や夫婦の年収、年齢などの要素を算定表を用いて計算・算出するのですが、
目安としてはサラリーマンの夫の年収が500万円、パート勤めの妻の年収が100万円の場合は月4〜6万円の範囲になるでしょう。
離婚をする夫婦のおよそ9割は協議離婚をするのですが、実際に協議離婚の場で慰謝料の取り決めを行う夫婦は3割と言われています。
取り決めを行うのが面倒でも、お互いの話し合いできちんと決めることでトラブルを回避しましょう。
養育費の額はあとで変更することもできる
養育費の取り決めをすでに終えても、その後双方に事情の変更(例えば再婚や失業など)があった場合、養育費の増額・減額を申し出ることができます。
一方、子どもが大きくなってもっとお金が必要になった場合や夫の収入が増えた場合、妻から夫へ養育費の増額を請求することもできます。
養育費の減額を請求できるケース
では、どのような場合に養育費の減額を請求することができるのでしょうか。
具体的なケースをお教えします。
妻の再婚相手に経済的な余裕がある場合
妻が再婚した相手に経済的な余裕がある場合、養育費の減額を請求をすることができます。
妻が再婚するまでに自分の収入が減った場合
夫の収入は養育費の額を算出する時に考慮する大きな要素です。
養育費とは、子どもが自分と同等の生活を送るためのものなので、自分の年収が減った場合は養育費の減額を請求することができます。
妻の収入が増えた場合
妻よりも経済力があるという理由で、親権を持たなくなった夫側に養育費の支払いをする義務があると言えます。
したがって、経済的に妻の収入が増えた場合も養育費の減額を請求することができます。
自分も再婚するなどして、扶養家族が増えた場合
もちろん、扶養家族が増えればお金がかかります。
あなたに別の女性との子どもができ、養うべき家族の数が増えれば離婚時と比べ事情が変わったということで養育費の減額を請求することができます。
妻が再婚し、子どもが再婚相手と養子縁組をした場合
妻が再婚し、子どもが戸籍上も再婚相手の子となった場合、再婚相手の夫の方がより子に対する扶養義務があるという理由から養育費の減額を請求することができます。
納得がいかない場合は慰謝料を請求しよう
ここまでで、なぜ夫が浮気をした妻に養育費を支払う義務があるのかをお分りいただけたと思います。
しかし、浮気をして離婚の原因をつくったうえに親権も取った挙句、養育費を請求されるのは耐え難いでしょう。
そんな時は、慰謝料を請求することをおすすめします。
養育費は子どもへの扶養義務として支払わなければならず、浮気という不貞の事実は考慮に入れません。
一方慰謝料は自分が受けたダメージに応じて請求額を決めることができます。
例えば、妻が月に5万円の養育費を請求してきた場合、あなたもそれ相応の慰謝料を請求すればいいのです。
ただし、離婚後も子どもたちが夫婦だった二人の金銭的ないざこざを目の当たりにするのはいい環境ではないということを配慮しましょう。
慰謝料を受け取るには不貞行為があったことを示す証拠が必要
それでは、慰謝料を受け取るにはどのような条件があるのでしょうか?
慰謝料を請求するには、不貞行為の事実があったことを証明することが必要です。
分りやすく言えば、妻が浮気相手と肉体関係を持ったことを示す決定的な証拠を示す必要があります。
ラブホテルに二人で出入りするところを捉えた写真があれば、強い効力を発揮するでしょう。
慰謝料は浮気相手にも請求できる
慰謝料は、浮気相手にも請求できるケースがあります。
浮気相手に「故意・過失」があり、不貞行為によってあなたが権利の侵害を受けた場合、浮気相手も慰謝料請求の対象となります。
妻が既婚者であると知りながら関係を持った場合や浮気の関係を続けた期間など、請求額を構成する要素は様々ですが、浮気相手にも慰謝料を請求することができるということを頭に入れておきましょう。
それでもどうしても養育費を支払いたくない場合は?
いくら子どものための養育費でも、養育費の支払いに納得がいかない場合、養育費の支払いを免れる方法がいくつかあります。
公正証書を作成していなければ法的に裁かれない
実際に離婚する前に取り決めをする夫婦は50.4%。しかしその中でもシングルマザーの養育費受給率は19.7%です。
養育費と慰謝料の両ケースの場合も、公正証書を作成しておけば、養育費を支払わなかった場合に支払不履行者の給料や財産などを裁判なしで差し押さえることができます。
養育費の取り決めの際に公正証書上に文書の作成をしなかった場合、あとで「言った言わない」の問題に発展しやすいのですが、そのようなトラブルを避けたいのであれば、公正証書の作成をおすすめします。
反対に、公正証書を作らなかった場合、また調停離婚・審判離婚・裁判離婚などでの離婚をせずに養育費の取り決めをしなかった場合には、養育費を支払わなくても法的に罰せられることはありません。
妻が再婚した場合はどちらに扶養義務がある?
妻が再婚した場合、再婚相手の夫には扶養義務が発生しません。
減額を請求できる可能性は高いですが養育費の支払いの義務はなくならないのです。
したがって、基本的に再婚相手に妻の連れ子の養育費支払い義務はないのです。
妻の再婚相手と子どもが養子縁組をした場合は別ですが、妻の再婚後も子どもは子どもとして扶養義務が発生するのです。
まとめ
離婚の取り決めの時は、「もう二度と関わりたくない」「手続きが面倒」といった理由であまり養育費を決めないことが多いです。
しかし、養育費の支払いはいちばんトラブルになりやすいのです。
妻の浮気によって離婚をすることになったのに養育費まで支払わなければならないのは納得がいかないかと思いますが、自分の子どもの扶養義務は全うしましょう。
また、離婚後の金銭的トラブルを避けるためにも、離婚時に金銭的な取り決めは公正証書に残すなどしてしっかり取り決めを行いましょう。
コメント