一昔前に、特定の人物を執拗につけ回す行為である「ストーカー」という言葉が流行しました。
かつては生身の人間の間での問題として捉えられていましたが、インターネットやSNSの普及に伴って、新たに「ネットストーカー」という問題が発生しつつあります。
ほとんどの方がインターネットを利用しているこの時代、決して他人事ではありません。
自分自身の身を守る為にも、ネットストーカーに関する知識を頭に入れておく必要があるのではないでしょうか。
これからネットストーカーについての内容を詳しく解説していきたいと思います。
ネットストーカーとは?
では、ネットストーカーとは具体的にどのような行為の事を指すのでしょうか。
これは、インターネット上やSNSにおいて特定の人物をつけ回すストーカー行為の事を指し、インターネットを駆使してあらゆる手段を利用して相手に嫌がらせをしたり困らせたりする事を意味しています。
例えば、個人情報を無断で盗んだり、悪質な噂を流したり、個人のデータを操作したり等の嫌がらせが特徴です。
不特定多数の人々が閲覧できるインターネット上で名誉を傷つけるような行為も多数あり、極めて卑劣な行為であると言えます。
ストーカー規制法が改正!ネットストーカーも規制対象に!
日本の法律において、実はつい最近までネットストーカーに関する明確な法規制は存在しませんでした。
その為、執拗なメールでのつきまとい行為が最終的には殺人事件にまで発展してしまった最悪なケースもあります。
「たかがメールでのストーカー」と軽く判断をされてしまった為、加害者を立件するには至らなかったのです。
このようなケースが増加してきたのと、SNSの利用者の割合が急速に増加してきた事も手伝って、2017年はじめについにストーカー規制法が改正されて、ネットストーカーも規制の対象になりました。
今回の法改正で規制対象に追加された内容は、拒否されているにも関わらずSNS等連続でメッセージを送信したり、ブログに執拗な書き込みを繰り返したりする行為などです。
法改正がなされる前年に、ネットストーカーが原因での殺人未遂事件が発生をした事もあり、深刻化しているインターネット上の付きまとい行為に幅広い規制を設定し、凶悪犯罪事件を未然に防ぐのが一番の狙いです。
ネットストーカーの恐怖
ネットストーカーは世間が想像をしている以上に悪質で恐ろしいものです。
それが原因で、自分の社会的立場、周囲からの信頼、知人との関係、そして自尊心をもズタズタにされてしまう恐れがあります。
さらに、ストーカー行為がネット上のみに留まらず、現実世界にまで発展してしまうとすれば、直接危害を加えられる事も十分に考えられます。
1日に何件もメッセージを送ってくる
ネットストーカーが行う行為の一つに、1日に何件何件もメッセージを送ってくる、というものがあります。
初めの内は他愛のない内容である事も多いようですが、それが次第にエスカレートして「愛してる」「好きだ」等と過剰な行為を示してくるようになります。
それらに返信をせずに無視をしていると、最終的には「殺す」等と恐ろしい事を言い出すストーカーも少なくはありません。
さらに悪質な事に、返信が来ないと分かると、SNSでの出身地や出身校から繋がりのある友人にまで手を広げて「誰誰と連絡がつかないから連絡先を教えて欲しい」等と連絡をとってしまうケースもあります。
電子メールなどに侵入されて内容を見られてしまう
また、ネットストーカーの悪質な手口の一つに、勝手に標的の人物の電子メールなどに侵入をして内容を見る、というものもあります。
パソコンやスマートフォン等で標的のサーバーに不正にアクセスをして、勝手に個人宛のメッセージを読んだり、あるいは標的になりすまして他者とやり取りをしたりします。
ハッキング行為は意外と多く行われており、ウイルスを利用したりすれば素人であってもサイバー攻撃をする事は可能です。
一度不正アクセスをされてしまうと、大切な個人情報をごっそりと抜かれてしまう事も考えられるので、注意をしなければなりません。
自分のアドレスや電話番号でネットショッピングをされてしまう
ネットストーカーの不正アクセスによりメールアドレスや電話番号等の個人情報が抜き取られてしまった場合は、次はほぼ間違いなくそれを悪用してきます。
例えば、自分で購入した覚えのない品物が突然送られて来て代金を請求されたり、あるいは頼んでもいない大量の出前が届いたりする被害も報告されています。
近頃はインターネットショッピングのシステムが整っており、気軽に欲しいものを購入出来る便利な時代になってきています。
不正アクセスを利用して標的の名義で勝手に買い物をするなどという行為は、最近の便利な状況を悪用した、極めて悪質で卑劣な行為であると言えるでしょう。
位置情報から特定されて実際に会おうとしてくる
ネットストーカーが攻撃してくる行為の中でも非常に厄介なものが、標的の位置情報を特定して実際に会おうとしてくるというものです。
「住所を教えたわけでもないし、向こうが知っているはずはないから大丈夫」等と思っていたとしたら、それは大きな間違いです。
スマートフォンやデジカメのカメラでは、撮影された日時やカメラの機種、メーカーなどの写真の詳細情報が記録されます。
中には、GPS機能のあるスマートフォンやデジカメで記録されてしまう位置情報もあります。
これは、緯度経度の詳細のデータで、わずか数メートルの誤差で撮影した場所でさえも特定する事が出来るのだとか。
ネットストーカーはこれを利用して標的がいる場所を割り出そうとするのだそうです。
また、SNSにおいて「自宅のバルコニーにて」等と、自宅と併せて周辺の施設まで写っている写真を掲載してしまった場合は、その写真から住所を特定するような行為も報告されています。
実際のストーカーに繋がる
ネットストーカーの恐ろしいところは、最終的にインターネット上だけでは歯止めがきかなくなってしまって、実際のストーカー行為へと移行してしまう可能性が非常に高いという部分です。
現に、元々はネットストーカーでの付きまといであったのがエスカレートしてしまって、実際に標的の人物をつけ回すようになり、最悪の場合は殺人事件や殺人未遂事件等に発展してしまったケースも少なくありません。
ネットストーカーをするような人物は非常に歪んだ思考なので、様々な嫌がらせのみでは飽き足らずに、実際に犯行に及んでしまうのだと言います。
たかがインターネット、されどインターネットです。
内容がそこまで重くない内から手を打っておかないと、取り返しのつかない事態になってしまう事もあります。
ネットストーカーの対策
本来ならば便利で楽しいツールであるはずのインターネットやSNSを利用してストーカー行為をするというネットストーカーは極めて悪質で許しがたい行為です。
もちろん、警察に相談をするというのも方法の一つではありますが、まずは自分自身でどのような対策をとる事が出来るのかを知っておくようにしましょう。
SNSの位置情報設定を見直す
今やコミュニケーションの重要な手段の一つであるSNSですが、自分のSNSの位置情報の設定がどのようになっているかきちんと把握していますか?
スマートフォンにはGPS機能がついており、写真や文章をSNSのタイムラインに投稿した際に、使用者の現在の位置情報を同時に投稿する設定にされていることがあるのです。
そのため、例えば、「自宅でDVD鑑賞中」等と、現在自宅にいると分かるような内容を自分の位置情報とともに投稿すると、ネットストーカーに自宅の位置が容易く特定されてしまいます。
自分のSNSの設定がどうなっているのかを確認して、位置情報を投稿しないような設定に変更するようにしましょう。
SNSのタグ付けを見直す
意外と見落としがちなのが、SNSの「タグ付け」という機能です。
これは、写真に一緒に写っている人の名前をタグ付けする事が出来る設定の事ですが、いつ、どこで誰と一緒にいるかが分かってしまいます。
自分ではその行動について投稿をしたりあるいは公開をしていなかったとしても、知らないうちに知人の投稿にタグ付けされていたというケースも少なくはないようです。
自分の知り合いならまだしも、全く知らない第三者にもそのような情報が漏れていると考えると怖いですよね。
SNSでのタグ付けの機能は設定によって変更出来るので、タグ付けを回避する設定にしておくと安心です。
設定の仕方は各SNSによって異なるので、ヘルプなどを活用しながら行うと良いでしょう。
SNSにメールや電話番号をリンクさせない
SNSを利用していると、時々「電話番号の追加は、アカウントのセキュリティ保護などに役立ちます」等のメッセージが表示されます。
この電話番号の認証は任意ですが、頻繁に通知が来るので一体何なのか気になりますよね。
SNSに電話番号を登録しておく事のメリットは、アカウント乗っ取りの被害に遭ったりしてログインが出来なくなった場合に、SMSですぐに新たなパスワードを通知してもらえるという事です。
要するに、不正アクセスされた事をユーザーが報告をする手間が省けるという事です。
しかし、厄介なのは、電話番号リンクさせるとそのままプロフィールの欄に掲載されてしまう場合があるというところです。
これでは個人情報が多くの人々に知られてしまいます。
メールアドレスについても同様なので、むやみやたらにリンクをさせないようにしましょう。
ラインのIDなどをネット上で教えない
SNS等のプロフィールの欄にラインのIDを掲載している方がいますが、非常に危険な行為です。
不特定多数の人々にラインのIDを知らせるという事は、ネットストーカーもそれを知る事が出来るという事になります。
ラインのIDは今やメールアドレスや電話番号と同じくらい大切な個人情報であると言っても過言ではありません。
第三者の閲覧が可能な場所に掲載する事は控えましょう。
空気の読めないコメントをする人には注意をする
SNSの投稿に関して空気の読めないような投稿をしてくる人には注意をする方が良いでしょう。
例えば、投稿をするとすぐにコメントをして来たり、あるいは投稿の内容に対して「自分も同じ物を持っていてお揃いです」や「いま近くにいます」等と妙なコメントばかりしてくる場合は、ネットストーカーへと繋がる可能性が高いと言えます。
度が過ぎるようなら、友達を解除するか制限リストを利用してその人から投稿が見られないようにするなどの対策が必要です。
ネットストーカーの撃退方法
このように、あらゆる手段を用いて悪質な嫌がらせをしてくるネットストーカーですが、こちらばかりが黙って泣き寝入りをする必要は全くありません。
ネットストーカーは立派な犯罪です。
ストーカー規制法が変わった事で、その悪質さはより世間の知るところとなっています。
同じような被害にあう方々を少しでも減らすという意味でも、堂々とした態度で撃退しましょう。
警察に相談する
一番先に思い浮かぶのはやはり警察です。
以前は、ストーカー関連の問題については警察は中々動いてくれないと言われていましたが、ストーカー規制法が改正された事によって、例えネット上のストーカー行為であっても警察は動かざるを得ません。
とは言っても、口頭で述べるだけではやはり証拠として弱いので、自分が実際にインターネット上でされた嫌がらせをプリントアウトして紙面に移したり、あるいは画面をスクリーンショットで保存をするなどして証拠を準備してから相談をするようにすると良いのではないでしょうか。
ネット上では強気なストーカーも、こちらが警察に相談をしたとなると慌てるはずです。
1人で抱え込まずに、最寄りの警察署に足を運んでみましょう。
探偵に依頼する
意外に早く解決してくれるのは実は探偵であると言われています。
警察は頼りになる存在ではありますが、どうしても証拠が不十分な場合には中々動かない場合もあります。
その為、探偵業者がネットストーカーについて調査することによって、高確率でストーカーが誰であるのかを特定する事が出来て、訴えを起こすのに十分な証拠を揃えられます。 それらの証拠があれば警察を動かすことも出来るようになるので、ネットストーカーに悩んでいる場合は、探偵の業者に依頼をするのも非常に有効な手段であると言えます。
ただし、探偵事務所であればどこでも良いというわけではありません。
特にネットストーカーとなると非常に高度なIT知識が必要ですし、調査が遠隔地にまで及ぶ可能性もあるので、ネットストーカーを専門とする業者を選ぶ必要があるのです。
まとめ
インターネットやSNSが普及して生活が便利になりあらゆる娯楽が増えた反面、「ネットストーカー」という新たな犯罪も発生してしまいました。
インターネット上のやり取りであるという事で、今ひとつ緊迫感や恐怖感が伝わらないネットストーカーですが、実際に被害にあっている人にとっては深刻な問題ですし、時には命に関わるような危険を感じる場合さえもあると言います。
インターネットやSNSを利用している人であれば誰でも被害者になり得るこの犯罪。
「明日は我が身」という気持ちを忘れる事なく、事前に防げる部分は気を付けるようにして、万が一の場合に備えてあらゆる対策の方法も頭に入れておくようにしましょう。
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